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防犯フィルムを貼る


 
防犯フィルムとは

  一般的に防犯フィルムと呼ばれているものは、元々防犯の為に開発されたものではなく、火事や地震などの災害時にガラスが割れても飛び散らないように開発された「飛散防止フィルム」のことであり、建設業界では以前から使われているものです。
 硬度や材質に違いはありますが、性質としては、基本的に防犯ガラスの中間層に使われているフィルムと同じものだと思って良いでしょう。防犯フィルムを貼ると、ガラスが割れても簡単に人が入れるだけの穴が空かないことから防犯効果があるとされ、最近の防犯ブームもあり、このような呼び方をして売り出されたようです。

 
期待できる効果について

 まず最初に申し上げなければならない事に、フィルムを貼ったり防犯ガラスに取り替えても、ガラスが割れなくなるわけではないということがあります。若干割れ難くなることはありますが、ガラスは必ず割れます。決して「割れなくする」事はできません。防犯フィルムや防犯ガラスを導入する意味は「割られないようにすること」ではなく、割られたとしても「大きな開口部を短時間に作られないようにする」ことです。
 しかし、このような大きな開口部を作って侵入される事はほどんどありません。何を言ってるんだと思われるかも知れませんが、最後まで読んでいただければ何故必要なのかが分かって頂けると思いますので、もう少しお付き合いください。
 侵入犯が使う実際の手口としては、クレセント(窓のカギのようなもの)周りになんらかの方法で手やドライバーなどの工具が入るほどの開口部を作り、そこからクレセントを回して窓を開けてしまうものがほとんどです。
 手やドライバーの先が入るくらいの開口部を開ける手段が、バーナーなどを使用した「焼き破り」だったり、ドライバーでガラスの一部を割る「三角割り」だったり、ドライバーそのもので突いて穴を開ける「突き破り」だったりする訳です。
 フィルムを貼り付けることにより面に対する強度は向上するのですが、先が尖ったものによる「突付き」に対する抵抗力や、バーナーなどを使った「焼き破り」に対する抵抗力は期待できません。
 工具の先が貫通すれば、その先を使ってクレセントを回すことができてしまいますし、バーナーなどで焼かれてしまえば、やはりクレセントを回されてしまうことになります。
 そこで補助錠などを取り付けることにより、クレセント周りに開口部を作っても窓を開ける事はできなくなります。こうなると、侵入する方法としてはガラス全体を割り、人が通れるほどの開口部を作るか、窓枠を含めて破壊するしか方法がなくなります。
 しかしサッシを壊して侵入するには時間がかかるので現実的ではありません。そうなると残っているのはガラスに大きな開口部を作ることですが、ここでフィルムが貼ってあれば5分以上の時間を稼ぐことができるのです。ここで初めてフィルムを貼る意味が出てくるのです。
 したがって、防犯フィルムを導入するメリットを生かすには、補助錠などの施工を同時に(もしくは先に)考えなければ、ほとんど効果が期待できないことになります。順番としては補助錠や防犯ブザーなどを設置し、そこで初めて防犯フィルムや防犯ガラスの導入という事になるのがお分かりいただけますでしょうか。
 当然ですが、フィルムに関してはガラス全面に貼らないとほとんど効果が期待できないのも分かっていただけると思います。良くホームセンターなどでクレセント周りだけをカバーするA4版程度のものが売られていますが、決して安いものではないにも関わらず、イメージだけ先行した宣伝広告で販売されている状況を見ると、大きな疑問を感じます。
 またフィルムそのものの効果も、施工方法によって変わります。後述していますので参考にしてください。

  
規格について

 結論から言ってしまうと、防犯フィルムに関しての厳密な規格というものは存在しないと言えます。これは開発された目的が空き巣などの侵入手口に対する防犯のためではない事が原因と思われます。
 実際に「防弾効果」などの基準は存在していましたが、空き巣の手口に対する耐久性能を考えた基準というものが、従来は存在していませんでした。しかし平成16年に「官民合同会議」によって発表された基準ができましたので、これがある程度の判断基準として目安になると言えます。
 この発表によると「打ち破り」「こじ破り」「焼き破り」と呼ばれる、主な窓側からの侵入手口について試験を行い、5分以上耐久性能があるものが防犯効果が期待できるとされ、その効果が得られるフィルムの厚みは350μm(ミクロン)以上とされました。
 みなさんが実際に350μm以上のフィルムを実際に手に取ると、感覚的にはプラスティックの下敷きか、それより若干薄いかなという程度の厚みがあるので、一般的に考えて「かなり厚い」という印象があるはずです。
 逆に言えば、これほどの厚みがあるフィルム以外は防犯効果はあまり期待できないという事にもなりますので、購入したりする時には気を付けて下さい。
 ただし、これもある程度の判断基準にしかなりません。その理由は、「官民合同会議」による試験の前提として、ガラスサッシはJIS準拠のものを使用し、さらに補助錠などを追加してあることが条件となっているからです。
 現在窓に補助錠やカギのついたクレセントを使用している家庭はほとんど無いと言って良く、サッシについてもJISに準拠したものを使用しているところが多いとはいえません。
 したがって、単純に350μm以上の厚みがあるフィルムを貼っても、官民基準をクリアする性能を期待できる訳ではないので注意が必要です。

  
施工方法について

 防犯の目的でフィルムを使う場合は、既存のガラスの内側全面に貼り付けますが、方法としては2つあります。
 一つはガラスの上から貼り付ける方法です。この時はガラスの端から4o前後の隙間をつくります。これは気温の変化によりフィルムが収縮するため、そのクリアランスを取るためで、これを目透かし貼りと言います。これをしないと暑い時期にフィルムが膨張し、サッシとの境目から剥がれてしまうことになります。
 もう一つは、サッシからガラスを外してフィルムを貼り、再度取り付けなおす方法です。この方法を取るとフィルムを貼った端の部分がサッシの枠内まで入り込むため、目透かし貼りと比較すると高い効果が期待できるのは言うまでもありません。
 しかしこの手法を取ると、防犯ガラスと比較して「工期が短い(当日現場で施工可能)」や「価格が安い」といったメリットが無くなってしまいますし、官民合同会議でも「目透かし貼り」で試験が行われて効果が期待できるとされている事もあり、ほとんどの場合は前者の目透かし貼りの方法を取ることになります。
 どちらにしても、官民合同会議で推奨されている350μm(ミクロン)以上の厚みのものを素施工するのは、簡単な作業ではなくなってきます。
 まず貼り付ける面を十分きれいな状態にしておかないと、必要な接着強度が得られませんし、見た目も汚くなってしまいます。また、これだけの厚さのものになってくると重量も増えてきますし、大きさも窓枠いっぱいになりますので、素材そのものの取り扱いが難しくなってきます。
 これだけのフィルムになると、かなり高価になります。もし失敗した場合の金銭的なロスは笑える額ではありません。簡単に貼れるなどとプロモーションをかけて売られているために自分で貼ろうとする方が増えているようですが、十分な効果が期待できる厚みのフィルムを、素人の方が施工するのは難しいと思われます。 

 
耐用年数について

 防犯フィルムは各メーカーによって違いますが、10年前後の耐用年数しかありません。要するに十分な効果を持続させるためには、10年前後で貼り替える必要があるということです。
 防犯フィルムを考える人は必ず防犯ガラスとの比較をします。施工金額や防犯効果を考えるのは当然ですし、ほとんどの方はこの二点を比較されます。しかし逆に言えばこの二点しか考えず、「ランニングコスト」の意識がほとんど無い方が多いと感じます。
 ガラスというのは建物に使う建具です。一般的な消耗品ではありません。当然ですが、建具に対しては長い耐用年数を期待される方がほとんどだと思います。実際にはどんな建具でも耐用年数はあるのですが、10年前後の耐用年数というのは、建具の耐用年数として決して長いものではありません。
 比較される防犯ガラスの耐用年数は、製品によりますが最低でも約20年、物によっては50年以上のものもあります。賃貸ですぐに引っ越す事を考えているのであれば良いのですが、そうでないのであれば防犯ガラスを1回入れ替える間に、フイルムは2回から5回貼り替える必要があるという事になり、ランニングコストを考えると明らかに防犯ガラスよりコストが高いと言えます。
 防犯フィルムは、現場で既存のガラス表面に貼る場合がほとんどです。表面の汚れを完全に取り除くのはプロでも不可能ですし、ましてや素人の方が施工した場合は空気をきれいに抜けなかったりするため、どうしても剥離が起きやすくなります。
 ホームセンターなどで見ると、バールなどで叩いた時の状況をビデオで流すなど、表面上の効果ばかり宣伝されていますが、メーカーを含め、耐用年数について触れている所を見たことがありません。これは重要なポイントなのですが、耐用年数についてほとんど知られていない(知らされていない)事は非常に大きな問題だと感じます。
 場合によっては「フィルムは年数による劣化はしません」などと言ってセールスしている業者もいるようです。恐らくフィルムそのものは劣化し難いものなので、それを根拠に言っているのでしょう。しかし防犯ガラスやフィルムの耐用年数は、主に接着面の寿命によるのです。剥離が起きたフィルムに防犯効果はありません。十分注意しなければならない点です。

 
まとめ

 上記を踏まえ、もし条件が許すのであれば防犯ガラスを導入することを考えるべきだと思われます。それでも防犯フィルムを検討する必要があるのは、賃貸マンションや管理規約でガラスの交換が禁止されているような分譲マンションなど、何らかの規制があり防犯ガラスを導入することが困難な場所であると当社では考えています。
 その場合でも十分な防犯効果を得るためには以下のような注意が必要です。
 1、十分な厚み(350μm)を持ったフィルムを使う
 2、一部ではなく、全面に貼る
 3、フィルムの施工と同時に補助錠などの施工をする
 4、できればプロに施工を任せる
 5、可能であれば「防犯ガラス」を選ぶ

   

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